鐘下さんの作り出す世界に興味を持ち、今回も観劇。昔の作品ラインナップを見ると、ちょっとチェックしてたの等あり、観に行かなかった過去の自分を後悔。
作・演出:鐘下辰男
出演:
剣 幸 :輝子
斎藤 歩:勇一(輝子の夫)
山崎清介:真治(勇一の義弟)
高田恵篤:民雄(輝子の実弟)
小林勝也:瀬川(刑事)
亀田佳明:三枝(瀬川の同僚)
ストーリー(e+より):
とある地方の村で起きた殺人事件。犯人は逃走し、未だ行方知らず・・・。
唯一肉親の姉、そしてその夫をはじめ村人たちへの警察の執拗なまでの聞き込みが始まる。
追い詰められた果てに明らかになる人々の隠された真実とは。
そしてあぶりだされる集落の異常な実態とは一体何なのか・・・。
☆舞台写真(オフィスコットーネHP)
☆THE・ガジラ党(演劇企画集団THE・ガジラオフィシャルブログ)
閉鎖的な社会である、地方の村が舞台。その閉鎖性がこの芝居の中心になっている。
ちらしに鐘下氏は、都会より地方の方が、残虐な犯罪が起きていると書いている。
ある小説では、高校を卒業しても、同級生は誰も就職出来ないと、書いていた。
いじめのニュースは毎日のように報道される。
でも私のように、東京生まれ、東京育ちの人間に、その地方社会の閉鎖性は理解出来ない。
せいぜい「電車の本数少なすぎ」と思うくらいで。
人間の厭らしさを、嫌という程見せ付けてくる。見ていて辛い。
執拗な取調べをする刑事の言葉は、人間の隠したい部分を暴き出す。
正直、私は、怖くて、辛かった。途中で胃がムカついた。
何でこんなに観客を辛くさせるのだろう。
でもその居たたまれなさが、非常におもしろいのだけど。
輝子の弟、民雄はいじめで人格を破壊されていく。いじめのニュースを見る度に、そんな思いまでして、学校なんか行かなきゃいいじゃないと思っていたが、この芝居を見て判った。都会なら逃げ場は幾らでもあるけど、地方では逃げ場が何処にも無いのだ。
民雄をいじめた勇一も、狭い社会の中での、自分の地位を脅かされたくなかったからだ。
輝子の行動が判らない。そこそこ美人で、破綻の無い人生を送るという女性は、とてもよくいるタイプで、女性特有の厭らしさが、わかり易いのだけど。
何故弟を苛めた男を結婚相手に選ぶのか。何を終わらせたかったのか。
大雨の中で起こった殺人。舞台袖に置かれたバケツの水が、勢い良く掛けられる。(蜷川さんの雨より、余程効果的。)
痛みと、たくさんの水。雨。
三人の参考人と二人の警察官の行き詰まる対決は、やがて終わる。
見終わったあとは、不思議と後味が悪くない、だけど色々と考えさせられた。
ファイターズに熱狂するのも、地方の特徴なのかな…。
>途中で胃がムカついた。
今回は大音響や水という効果もあって、余計胃がムカつきました。
>地方社会の閉鎖性は理解出来ない。
私も田舎育ちじゃないのでピンと来なかったです。”木の椅子がきしむ音”にもピンと来なかったな…。
最初に題名見た時は「ヒトラーもの?」って思いました。見事に裏切られました(笑)
何かね〜あのやたら息苦しくなる空間が、
終わってみると、妙に快感だったりします。
でも地方社会の閉鎖性は、これは都会育ちだと理解出来ないですね。
派手な服着ていると、近所で何言われるか、とか。