野田・蜷川・串田と続いた外部演出家のタッグ、それなりにおもしろかったが、舞・から発せられるエネルギーは残念ながら物足りなかった。
『法界坊』の中村座版は未見である。とはいえ中村座には行ったことがあるので、確かにあの空間で観劇したら楽しいだろうな〜と思った。
劇場だけじゃない、劇場の外も、異空間。
コクーンもそう。劇場に入るとロビーからして異空間。客席の椅子も取っ払う。そこを役者が縦横無尽。
それをそのまま歌舞伎座に持ってきた。
客席を多用すると、まず単純に見えない。二階ですら見えない。二階も一等料金なんですけど…。
私は歌舞伎の良さは「安い席で見ても楽しめる」ことだと思う。もちろん前の席で見る方が良いに決まっているが、これが他のジャンルの芝居は、後ろにいくと歌舞伎に比べかなりがっかり度が強くなる。
串田さんは劇空間の使い方の上手い演出家だと思う。
今年2月の『コーカサスの白墨の輪』では、劇場の案内の方々にまで衣装を着せ、世田谷パブリックシアターを円形劇場にし、幕間には私たち客はグルジアワインを一部出演者と飲んだのだ。(芝居そのものよりも、こういう付随したイベントの方が楽しかった(苦笑))
その空間の使い方の上手さが、『歌舞伎座という空間』では生きてこない。歌舞伎座はそれほど特殊な場所なのだろうか?
『法界坊』は楽しい芝居だったけど、どこかに引っかかりを感じた。
少しだけ追記